前々回に書いた「厳」のつく苗字の話題の続きです。
「厳」の旧字体は「嚴」です。
似ていますが、「巌」の旧字体は「巖」になります。
上に「山」があるかないかですね。
「厳」という漢字が苗字に用いられるとき、だいたいは「げん」と読むと書きましたが、「巌」は「いわ」か「がん」と読みます。
そもそも「巌」を辞書で引くと、「岩」って書いてありますからね。
wiktionaryには「巌」の簡体字として「岩」が出ています。
ここに悩みました。
「巌」も「巖」も全て「岩」として、まとめてしまうべきなのか?
話題は変わりますが、これと同じように悩んだ漢字で「躰」というものがあります。
「体」の旧字体として「體」がありますが、俗字体として「躰」も出ています。
そのため、新字体として統一するのであれば、「躰」のつく苗字は「体」に統一してしまうべきなのか?
「躰」を用いた苗字はそれほど多くはありませんが、それでも10種類近くあります。
そしてそのほとんどが、「体」よりも「躰」の方が多いのです。
特に「西躰(にしたい)」という京都府と兵庫県に集中している苗字の場合、ウェブの「写録宝夢巣」で「西躰」が37件もあるのに、「西体」は0なのです。
さすがに0である苗字に統一するのは厭です。
この「躰」に関しては例外的な扱いにすべきかどうか悩み中です。
同じことが「巌」にも言えます。
「巌」を用いた苗字の場合、それが「岩」と置き換えた苗字が存在しないことが結構あるのです。
悩みましたが、私としては、「巌」と「岩」は別字という扱いでいこうと思います。
今後、似たような例が出てきたときの判断基準として、『簡体字に置き換えた場合、その苗字が存在しなくなる、もしくは極端に少なくなることが多い』ものは別字扱いとするということにしておきます。
もう一点。「巌」と「厳」は類似しているので、読みが重複しているものが多いのです。
「厳」と書いて「いわ」と読む苗字も5-6種ありました。
前々回に紹介した「厳樫」と同じ読みの「巌樫」というのもありました。
これらが誤記の定着した苗字なのか、スキャンミスによる幽霊苗字なのかの判断が悩ましいのです。
唯一、「厳田」と書いて「いわた」と読むひとは見つかりました。
そのため、「厳」と書いて「いわ」と読むケースが他にもないわけではないと思います。
迷いますが、見つからなかったものは、幽霊苗字と考え、いったん削除することにしました。
「巌」に関して、後ひとつ。
「苗字の百貨店」には「大巌」と書いて「おおいし」と読む苗字が紹介されています。
ウェブの「写録宝夢巣」で見ると全国で1件の苗字です。
「おおいわ」ではなく、「おおいし」と読む?
本当でしょうか?
後、単に「巌」と書く苗字もあります。
全国で100件以上もあります。
これは「いわお」と読みます。それは良いです。
「苗字の百貨店」ではカッコつきで「おおみや」という読みが紹介されています。
カッコつきというのはその読み方が1割以下の稀なものなのですが、これは読めません。
ちょっと信じらません。
実在を確認したいのですが、難しいですね。
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