2013年9月30日月曜日

桜と継と予と余に関して

本日は「桜」から。
旧字体は「櫻」です。

「桜」を用いた苗字は100種類以上ありました。

最もメジャーなものとしては「桜井」がありますが、読み方もほとんどが「さくら(ざくら)」です。

「浅桜」は「あさくら」と読みます。
実在も確かめられました。
重複する「さ」が省かれたんですね。

「桜木谷」は「さきや」とと読みます。
実在も確かめられました。
このように「桜」を「さ」と読むものもいくつかありました。

「桜柳」は「おうやぎ」と読むそうです。
「桜」を「おう」と読む苗字はありそうですが、他には見つかりませんでした。
「桜柳」も実在は確認できませんでした。


次は「継」。
旧字体は「繼」です。

「継」を用いた苗字は50種類ほどありました。
読み方はほとんどが「つぎ」か「つぐ」です。
ほぼ半々で存在します。

「継田」も「つぎた」と「つぐた」がありますが、「ままだ」という読みもありました。
「苗字の百貨店」によると、「つぎた」が少し多いようですが、「ままだ」も決して稀少な読みというわけではないようです。


次は「予」です。
旧字体は「豫」です。

「予」を用いた苗字は20種類ほどありましたが、読み方は「よ」だけでした。


次は「余」です。
旧字体は「餘」です。
「余」を用いた苗字は80種類以上ありました。

「余」を用いた苗字も「よ」と読むことが圧倒的に多いです。

その他には「あま」や「あまり」と読むことがあります。
「余り」という言葉があるので、それほど難しい読み方ではないでしょう。

「余目」は「あまるめ」と読みます。

「木田余」は「きだまり」と読むそうです。
実在は確認できませんでしたが、このように読む地名はありました。

「神余」は「しんよ」や「かみよ」と読むこともありますが、最も多い読み方は「かなまる」でした。

「虎余」は「とらわき」と読むとなっていましたが、実在は確認できませんでした。
「余」を「わき」と読むのはちょっと考えにくいですが、どういう理由なのでしょうか?

2013年9月29日日曜日

覚と挙と県と検に関して

本日は「覚」から。
旧字体は「覺」です。

「覚」を用いた苗字は50種類ほどありました。
読みは圧倒的に「かく(がく)」が多いです。

前の漢字に引きずられて濁点がつくということはよくありますが、「覚張」という苗字は「がくはり」と読むことが多いです。
一文字目から濁点がつくのはちょっと珍しいです。

「問覚」は「とおぼえ」と読みます。
実在も確認できました。
指摘されればその通りの読みですが、ちょっと読めないですね。

「覚方」は「おぼかた」と読みます。
「覚井」は「かくい」とも読みますが、「さめい」と読むこともあります。
「「真覚」は「まさめ」と読みます。
全て実在も確認できました。


次は「挙」。
旧字体は「擧」です。
上の部分が「覺」と似ているようで、ちょっと違います。

「挙」を用いた苗字は3種類しかありませんでした。
そのうち2種類は「あげ」と読んでいました。

残る1種類は「挙市」というもので「こいち」という読みは確認できました。
この苗字はウェブの「写録宝夢巣」では3件しかない稀少なものです。
この「こいち」以外に「ゆいち」という読みがあると「苗字の百貨店」に書いてあったのですが、どうなのでしょうか?
「挙」から「こ」は分かりますが、「ゆ」と読むのは無理じゃないかと思うのです。
カタカナで書くと「コ」と「ユ」は似ているので誤記なのではないかと思います。


次は「県」。
旧字体は「縣」です。

「県」を用いた苗字は30種類ほどあります。
読み方は「がた」が多いです。

他には濁点のつかない「かた」や「「かけ」という読み方もありました。

「県」一字では「あがた」と読みますが、これは読めますね。

「県詰」は「けんづめ」と読みます。
意外?なことに「県」を「けん」と読む苗字はこれだけでした。



次は「検」。
旧字体は「檢」です。

「検」を用いた苗字は8種類ありました。
読み方はほとんど「けん」だけです。
「検見川」だけが「けみがわ」と読んでいました。

2013年9月28日土曜日

竜と滝と篭に関して

本日は「竜」と「滝」と「篭」を一気に扱います。

「竜」の旧字体は「龍」です。
ついでにいうと、「滝」の旧字体は「瀧」です。
「篭」は常用漢字ではないのですが、異体字として「籠」があります。

「龍」はJIS第1水準ですし、いちいち新字体に置き換える必要がないのではないか?とも思いましたが…

次のふたつの理由で、結局はまとめることにしました。

・戸籍上で旧字体を用いた苗字であっても、新字体を用いて名乗ることに問題はない
・「龍」を特別扱いにすると「瀧」も「籠」も同じように考えないといけなくなる

要するに、「龍」を用いた苗字の方がわざわざ「竜」に置き換えて名乗っていることはあまりないかもしれないけれど、ゼロとも言えないのでまとめておこうということです。

では、まず「竜」から。
「竜」を用いた苗字は180種類ほどありました。
読み方はほとんどが「たつ」か「りゅう」です。

「りょう」と読む場合もあるのですが、だいたいは複数ある読み方の少数派に過ぎません。

唯一、「竜子」という苗字だけは「りょうこ」と読むことの方が多かったです。
この読みで実在も確認できました。
(「りゅうこ」という読みもあります)

難読苗字で有名な「臥竜岡」。
これで「ながおか」と読みます。
よく紹介されているのですが、実在が確認できませんでした。
ウェブの「写録宝夢巣」では「臥竜岡」で1件、「臥龍岡」で2件しかなかったので、仕方がないのかもしれません。

「北竜」は「きたきみ」と読みます。
実在も確かめられました。
なぜ「竜」で「きみ」と読むのか?不思議です。
何かの置き換えなのでしょうか?


次は「滝」です。
「滝」を用いた苗字は更に多く、280種類ほどありました。
読み方は「たき(だき)」だけでした。


次は「篭」です。
「篭」を用いた苗字は80種類ほどでした。

本日の3種類のうちでは最も少ないようですが、読み方は最も多様です。

多いのは「かご」か「こもり(ごもり)」です。

次に多いのは「こ(ご)」という読みです。
「江篭(えご)」は鹿児島県に集中していますが、決して稀な苗字ではありません。
他にも「こ(ご)」という読み方をするものはたくさんありました。

「葛篭(つづら)」というのは読みにくいですが、竹で編んだ衣装箱が思い浮かびますよね。
「葛篭」を用いた苗字も4種類ありました。

「堀篭」は「ほりごめ」と読むことが多いです。

「篭田」は「かごた」と読むことが多いですが、「こもた」と読むこともあります。

「茂篭」は「もろ」と読みます。
これも稀少な苗字ではなく、実在も簡単に確かめられます。

「鹿篭」は「しかもり」と読むそうですが、実在は確かめられませんでした。
広島県に「鹿籠(旧字体の方)」という地名がありますが、これは「こごもり」と読みます。


「竜」と「滝」と「篭」を調べて分かったこととしては、「竜」と「篭」に関しては「龍」と「籠」を用いている苗字の方が多かったです。
「滝」は「瀧」の方が少ない印象です。

今回の中で、例えば「江篭」などは「江籠」の方が圧倒的に多いわけです。
そういった場合、まとめられてしまうと違和感を覚えると思います。
新字体と旧字体をまとめてしまえば良いというわけではなく、難しい問題です。

2013年9月27日金曜日

対と団と台と垂に関して

本日は「対」から。
旧字体は「對」になります。

「対」を用いた苗字は30種類以上あります。

読み方として多いのは「つい」か「たい」です。
ただし、「対」を用いた苗字で最も多いのは「対馬(つしま)」です。

長崎県にある島の名前なので、読むのは容易ですよね。
冷静に見ると非常に難しいですが…
「対」で「つし」と読んでいるのでしょうね。
似たようなものとして、「対尾(つしお)」などがあります。

「対田」は熊本県と青森県の2ヶ所に集積のある苗字で、熊本県では「ついだ」と読み、青森県では「つした」と読むことが多いようです。

これらから「対」を「つし」と読む苗字もいくつかあることがわかります。

「対川(つがわ)」や「対島(つしま)」というのもあり、ここでは「対」に「つ」という読み方をしています。


次は「団」。
旧字体は「團」です。

「団」を用いた苗字は20種類ほどあります。
読み方はほとんどが「だん」です。

「小団扇」は「こうちわ」と読みます。
実在も確認できました。
「団扇」を「うちわ」と読むのは、それほど難しくないでしょう。

「団栗」は苗字としてならば「だんぐり」と読むことが多いです。
「どんぐり」と読むこともあるようですが、実在は確認できませんでした。


次は「台」です。
旧字体は「臺」です。

「台」を用いた苗字は100種類以上あります。
これも読み方はほとんどが「だい」です。
稀に一文字目にくるときだけ「たい」と濁点のない読み方になることもあるようです。

「台」一字では「だい」と読むことが多いですが、「うてな」と読むこともあります。
稀少苗字ではないので、実在も簡単に確かめられます。


次は「垂」。
旧字体ではありませんが、異体字(俗字)として「埀」があります。

「垂」を用いた苗字は40種類ほどあります。
読み方としては「たれ(だれ)」と「たる」がほとんどです。

「沼垂」は「ぬまたり」と読むそうです。
実在は確認できませんでした。
「垂」を「たり」と読むのはこれだけなので誤植ではないか?と思いましたが、確証はエられませんでした。
新潟県には「沼垂」という地名があり、これは「ぬったり」と読みます。
そのため、「たり」という読みがあっても問題はないのですが。

「垂」一字でも「たれ」と読みますが、「たるみ」と読むこともあります。
実在も確認できました。

「垂髪」は「うない」と読みます。
難読ですね。
髪をうなじのあたりまで垂らしておく小児の髪型のことだそうです。

2013年9月26日木曜日

発と涼に関して

本日は「発」から。
旧字体は「發」です。

「発」を用いた苗字は20種類ほどありました。

読み方は「はつ」が多いですが、「ほつ」も多いです。
また後に続く漢字によっては「はっ」や「ほっ」になることもあります。

半濁点がついて「ぱつ」となるものもありました。

新潟県に「新発田(しばた)」市がありますが、「発」と書いて「ば」と読む苗字としては「新発田」もありますが、もうひとつ「花新発(かしば)」というものもありました。

「安発」は「あわ」と読みます。
これはそれほど稀少苗字というわけではなく、実在も確認できます。


次は「涼」です。
異体字(簡体字)として「凉」があります。
「凉」はJIS第2水準なので、まとめてしまいます。
(「沖」と「冲」の関係と同じです)

「涼」を用いた苗字は10種類ほどあります。
読み方は「すず」が多いですが、「りょう」もありました。

2013年9月25日水曜日

焼と点と函と留に関して

本日は全くランダムに。
「焼」から。
旧字体は「燒」です。

「燒」を用いた苗字は30種類ほどありました。

静岡県に「焼津(やいづ)」市がありますが、「焼津」という苗字はありませんでした。
これはすごく意外な気がします。

かわりに「尾焼津(おやいづ)」という苗字がありました。
「焼」を「やい」と読むのはこの苗字だけだったのですが、「焼津」が有名なので、さほど難読ではないのかもしれません。

「焼」の読み方は「やき」が多く、次に「やけ」でした。

「香焼」は「こうたき」と読みます。
実在も確認できました。


次は「点」。
旧字体は「點」です。

「点」を用いた苗字は4種類しかなく、いずれも読み方は「てん」です。


次は「函」。
旧字体ではありませんが、俗字として「凾」があります。
「凾」はJIS第2水準です。
「函」を用いた苗字は4種類あります。

「函館」という地名が有名ですが、苗字としてもあります。
ただし、かなりの稀少苗字です。
「はこ」と読むのは「函館」と「函城(はこぎ)」の2種類でした。

「了函」は「りょうがん」と読みます。
実在も確認できました。

「高函」は「たかさき」と読むそうですが、実在は確認できませんでした。
「函」で「さき」と読むというのは信じられませんが、なにかの置き換えなのでしょうか?


次は「留」。
旧字体ではありませんが、俗字として「畄」があります。
「畄」はJIS第2水準です。
「留」を用いた苗字は200種類以上あります。

読み方はほとんどが「る」か「とめ(どめ)」です。

例外的な読み方もいくつかあります。
「留目」は「とどめ」と読みます。
「侍留」は「しとみ」と読みます。
「久留生」は「くりゅう」と読みます。
これらはいずれも実在を確認できました。

「守留」で「「もりずみ」と読む苗字もあるそうですが、これだけ実在が確認できませんでした。

2013年9月24日火曜日

仏と払と顕に関して

本日は「仏」から。
旧字体は「佛」です。
「仏」を用いた苗字は60種類ほどあります。

読み方ほほとんどが「ぶつ」です。
(濁点のつかない「ふつ」という読みはほとんどありませんでした)

「ほとけ」と読むのは「仏坂(ほとけざか)」などだけで少数派です。
「木仏寺(きぶでら)」や「仏師田(ぶしだ)」のように「ぶ」という読み方もありました。

「仏木」は「ほてぎ」か「ほとぎ」と読むそうですが、どちらも実在を確認できませんでした。

「小仏」は「こぼとけ」と読むそうですが、「大仏」は「おさらぎ」と読みます。
「大仏(大佛)次郎」という作家がいましたが、これはペンネームです。
「小仏」も「大仏」も実在は確認できませんでした。


次は「払」です。
旧字体は「拂」です。
「払」を用いた苗字は9種類ありました。

読み方はほぼ「はらい(ばらい)」だけです。

「払井」という苗字は「はらい」と読むので、「払」だけに限ると「はら」と読んでいることになりますが、これは別に難しい読み方ではないでしょう。


次は「顕」。
旧字体は「顯」です。
「顕」を用いた苗字は7種類ありました。

「顕」は音読みでは「けん」ですが、訓読みでは「あきらか」とか「あらわ・す」です。

苗字としては「けん」と読むものは3種類しかありませんでした。

「顕山」と「高顕」はそれぞれ「あきやま」と「たかあき」と読みます。
「顕木」と「顕谷」はそれぞれ「あらき」と「あらや」と読みます。

「けん」と読まないとなると、たちまち難読です。

2013年9月23日月曜日

尽と図と蓋に関して

本日は「尽」から。
旧字体は「盡」です。

「尽」を用いた苗字は2種類しかありませんでした。
「尽田(つくしだ)」と「無尽(むじん)」です。
ともにかなりの稀少苗字です。
「尽田」は実在を確認できましたが、「無尽」は無理でした。

次は「図」です。
旧字体は「圖」です。
「図」を用いた苗字は30種類以上ありました。

ほとんどの読み方は「ず」です。
「図」一字のときだけ「はかり」と読むそうです。
ただし実在は確認できませんでした。

「図書」という苗字もあります。
これも「ずしょ」と読みます。
これを「としょ」と読む場合もあるということですが、実在は確認できませんでした。
(「ずしょ」は確認しています)
他にも「ず」と読むことが多いけれど、「と」と読むこともある苗字がありましたが、いずれも確認できませんでした。

次は「蓋」です。
旧字体ではありませんが、異体字として「葢」があります。
「蓋」を用いた苗字は10種類以上ありました。

読み方はほとんどが「ふた(ぶた)」です。
「蓋」一字でも「ふた」と読むことが多いのですが、「きぬがさ」と読むこともあります。
実在も確認できました。

「白蓋」も「しらふた」と読むことが多いのですが、「ばっかい」と読むこともあるそうです。
ただし残念ながら、どちらの読み方も実在を確認できませんでした。

2013年9月22日日曜日

売と読と続と禅と弾に関して

本日は「売」から。
旧字体は「賣」です。

「売」を用いた苗字は10種類以上あります。
半分以上は「うり」です。
「うる」と「ばい」という読みもあります。

「売谷」は「からたに」と読むそうです。
「殻」から転じたのでしょうか?
スキャンミスではないかと疑いましたが、実在も確かめられました。

「売豆紀」は「めずき」と読むそうです。
島根県に「売豆紀神社」もあり、この苗字も島根県に集中していました。
wikipediaでみると正式には「ひめつきの or めつきの(神社)」と読むそうですが、今は「めずき or めづき(神社)」のようです。

正式な「めつき」という読みが正しいと考えるなら、「めづき」の方が正しいのでしょうが、「大豆」は「だいず」であって「だいづ」ではないので、「豆」は「ず」とフリガナをふった方が自然な気がします。

「比売宮」は「ひめみや」と読むそうです。
こちらは実在が確認できませんでしたが、「売」の音読みには「め」もありました。


次は「読」です。
旧字体は「讀」です。

「読売新聞」の題字も「讀賣新聞」となっていますよね。

「読」を用いた苗字は4種類でした。
「よみ」が2種類で、「とく」が1種類。

「喜読」は「きとく」と「きよみ」の両方の読みがありました。


次が「続」。
旧字体は「續」です。
こちらは30種類近くありました。
読みもいろいろとあります。

多いのは「つづき」です。
「続」一字でも「つづき」と読みます。

「つづ」という読みも多いです。
「続」を用いた苗字で最も多いのは「続木」ですが、これも「つづき」と読みます。

それ以外では「つづく」や「ぞく」もありました。
「つぎ」や「つぐ」もありました。
「続き」や「続く」という単語から連想すれば読めそうですが、「つぎ」や「つぐ」は難読ではないでしょうか?


次は「禅」です。
旧字体は「禪」です。
「禅」のつく苗字は8種類ありました。
読みのだいたいは「ぜん」です。

ただし「禅」一字の苗字では「ゆずり」と読むそうです。
実在も確かめられました。

「禅洲」は「さとす」と読むそうです。
実在も確認できました。


本日の最後は「弾」です。
旧字体は「彈」です。

「弾」を用いた苗字は10種類ありました。
読みとしては「だん」と「だ」がほぼ半々でした。

「弾」には本来は「だ」という読み方はないはずなのですが、「弾」のつく苗字で最も多いものは「飛騨」であって、これを「ひだ」と読まないひとはいないでしょう。

「弾」を「だ」と読む苗字は「飛騨」に類似したものがほとんどでした。

2013年9月21日土曜日

聴と庁と勅と衛に関して

本日は「聴」から。
旧字体は「聽」です。

「聴」を用いた苗字は「聴川(きくかわ)」と「聴涛(きくなみ)」のふたつしかありません。
どちらもかなりの稀少苗字です。


次は「庁」。
旧字体は「廳」です。
マダレの中がそのまま「聽」ですね。
音読みもともに「ちょう」ですし。

「庁」という漢字を用いた苗字は「庁」一字の苗字しかありません。
そのまま「ちょう」です。


次は「勅」。
旧字体は「敕」です。
「勅」を用いた苗字は8種類ありました。
「勅使河原(てしがわら)」という四文字姓の中ではポピュラーな苗字がありますが、「勅」を用いた苗字のうち7種類までは「勅使(てし)」として使われていました。

唯一の例外が「勅丁」です。
「ちょくし」と読むそうです。実在も確認できました。


次は「衛」。
旧字体は「衞」です。
「衛」を用いた苗字は60種類以上ありました。
ほとんどが「え」という読みですが、「えい」という読みもありました。
日本にふたつしかない五文字姓のうちのひとつ、「左衛門三郎(さえもんさぶろう)」にも、「衛」が使われていますね。

「衛」一字では「まもる」と読むことが多いとのことです。
実在は確かめられませんでしたが…

「右衛門佐」は主に「よもさ」と読むそうです。
「うえもんさ」という読みもありました。
どちらも実在が確かめられました。
「よもさ」とは読めないですね。

2013年9月20日金曜日

旧と双に関して

本日は「旧」からです。
旧字体は全く形が異なりますが「舊」です。
ちょっと馴染みがないですね。

「旧」を用いた苗字は10種類ちょっとありました。
読み方としては3種類。
「きゅう」と「ふる」と「うす」です。

「きゅう」はそのままの読みですよね。
「ふる」は普通では読めないですが、「旧い(ふるい)」という読みがないわけではないので、一度でも教えてもらえば次からは読めそうな気がします。

「うす」はどうでしょうか?
とても読めそうもありません。
しかし、「うす」と読む苗字は「旧井(うすい)」をはじめとして4種類もありました。
しかも「旧井」に限っては、決して稀少なものではありません。

wiktionaryを見ると、「舊」が「臼」を音とする形声文字だそうです。
そういえば「臼」も「きゅう」と読みますしね。


次は「双」です。
こちらの旧字体も形が異なる「雙」です。

「双」を用いた苗字は30種類近くありました。

やはり「そう」という読みが多いですが、「ふた」もかなりあります。

「双木」は「なみき」と読みます。
埼玉県に集中している、決して稀少ではない苗字です。
「なみ」と読むのはこれだけです。

「双石」は「くらべいし」と読みます。
実在も確認できました。
これは難読です。

「双沢」と「双畑」はそれぞれ「すごさわ」と「すごはた」だそうです。
実在は確認できませんでしたが…
「双六」で「すごろく」と読むのは誰でもできるので、それに気づけば読めないことはないでしょうが、かなりの難読です。

「双松」は「ならびまつ」とか「ならまつ」などと読むそうですが、実在は確認できませんでした。

2013年9月19日木曜日

広と鉱と昿と伝と転に関して

本日は「広」からです。
旧字体は「廣」です。これは有名ですよね。

「広」を用いた苗字は400種類以上あります。

読みは「ひろ(びろ)」が圧倒的に多いですが、「こう」もあります。
「広」一字でも「ひろ」が多いですが、例外的に「ひろし」と読むこともあるようです。


次は「鉱」です。
旧字体は「鑛」です。
こちらは5種類しかありませんでした。
そのうち3種類は「広」と同じく「こう」という読みでした。

「鉱山」は普通に読めば「こうざん」ですが、苗字としては「かなやま」です。
稀少苗字ですが、実在も確認できました。

「鉱」一字では「あらがね」と読みます。
こちらも稀少苗字で、かつ難読です。


次は「昿」です。
こちらは旧字体ではなく異体字という扱いですが、「曠」があります。
上のふたつと比較すれば、この字を旧字体と同様に扱っても良いと思います。
そもそも「昿」はJIS第2水準で、常用漢字でも人名用漢字でもないので、新旧字体表に載っていないのです。
「昿」を用いた苗字は「昿野」しかありませんでした。
これは「こうの」と読みます。実在も確認できました。


次はがらっと変わって「伝」です。
旧字体は「傳」です。
90種類ほどありました。
ほとんどが「でん」でした。
「貴伝名(きでな)」と「小伝茂(こでも)」のように三文字姓の二文字目の場合は「で」となることがありました。
「伝平」も「でびら」と読みます。

「伝井(つたい)」や「伝川(つたがわ)」のように「つた」と読むこともあります。

「伝」一字では「でん」か「つたえ」と読むことが多いようですが、「つとう」という読みもありました。
実在も確認できました。


次は「転」です。
旧字体は「轉」です。

「転」を用いた苗字は7種類ありました。
そのうち5種類は「てん」でした。

「転石」は「ころびし」か「ころいし」と読むそうです。
残念ながら、どちらも実在が確認できませんでした。

「転」一字では「うたた」と読むそうです。
こちらも実在を確認できませんでした。
芸名かどうか判断に困るものはあったのですが…

2013年9月18日水曜日

場と旗と処と独に関して

本日は「場」から。
こちらは旧字体ではないのですが、異体字(俗字)として「塲」があります。
「塲」はJIS第2水準です。

「場」を用いた苗字はなんと500種類以上もあります。
ただし、読みとしては「ば」しかありません。


次は「旗」です。
こちらも旧字体ではないのですが、異体字として「籏」があります。
「籏」はJIS第2水準です。

「旗」を用いた苗字は60種類ほどあります。
ほとんどが「はた(ばた)」でした。

「五百旗頭」は主に「いおきべ」と読みます。
「旗」で「き」と読むものは、これぐらいでした。


次は「処」です。
こちらは旧字体があります。「處」です。
「処」を用いた苗字は20種類ほどです。

読み方としては「しょ(じょ)」か「ところ(どころ)」だけです。


次は「独」です。
旧字体は「獨」になります。
「独」を用いた苗字は4種類しかありませんでした。

「独古」と「独鈷」はともに「どっこ」と読みます。
(「独古」は「どくこ」と読むこともあるようですが、確認できませんでした)

3つ目は「独活山」です。
これは「うどやま」と読むそうです。
「独活」は多年草のウドに漢字を当てたものなので、それを知っていれば読めるのかもしれません。

最後のひとつ、「独島」は「ひとりじま」と読むそうです。
かなりの稀少苗字ですが、実在はしていそうです。
ただし、私が見つけた方は、結婚して「独島」から改姓しているようでした。

こうなった場合は判断が難しいです。
他に同姓の方がいない場合は、その苗字が消滅してしまった可能性もあるのです。
こういうケースに関しては、後々に改めて検証しなおそうと思っています。


2013年9月17日火曜日

寝と麩と昼に関して

本日は「寝」から。
旧字体は「寢」になります。
「寝」を用いた苗字は3種類しかありませんでした。

「寝占」と「祢寝」と「久寝」です。

「寝占」は簡単でしょうか?
「ねじめ(ねしめ)」と読みます。

「祢寝」。
これも「ねじめ(ねしめ)」と読みます。
直木賞作家の「ねじめ正一」さんの本名はこれですね。

「久寝」はどうでしょうか?
これは「くすみ」と読みます。
実在も確認できました。

3種類しかないのに、どれも読み方が違います。
ちょっと難しいですね。


次は「麩」です。
旧字体ではないですが、簡体字(俗字)という扱いで「麸」があります。
ぱっと見た印象がほぼ一緒ですよね。
どちらもJIS第2水準です。
「麩」の方が正字という扱いになっているので、そちらに統一することにします。
「天ぷら」を漢字で書くときも、「天麩羅」ですしね。

「麩」を用いた苗字は4種類ありました。
読み方は「ふ」しかありませんでした。


次は「昼」です。
旧字体は「晝」です。
10種類以上ありました。
読み方はほとんど「ひる(びる)」でした。

「昼八」のみが「ちゅうばち」で、「昼」を「ちゅう」と読んでいました。

2013年9月16日月曜日

柴と紫に関して、幽霊苗字かも?

幽霊苗字ではないのか?というのをいくつか見つけました。

「苗字の百貨店」で「崩紫」というのが、それです。
ウェブの「写録宝夢巣」でも全国で1件だけ見つかります。
読み方は「なぎしば」らしいです。

「崩」という漢字が苗字で使われることはそれほど多くありませんが、それでも10種類以上ありました。

最も多いよみは「つえ(づえ)」でした。
7種類ありました。
「崩」一字では「くずれ」と読みます。
「なぎ」という読みは「なぎしば」を含めて2種類ありました。
他には「ずり」とか「くえ」がありました。
いずれでも難しい読みですが、「崩」と書いて「なぎ」と読むものは「崩前(なぎまえ)」という苗字もあり、信じられないものでもありません。

「紫」と書いて「しば」と読むのが、信じられませんでした。
「しば」ならば「柴」ではないのか?と考えたのです。

「崩紫」で調べてみてもペンネームとしてはありましたが、実在している方は見つかりませんでした。
もちろんかなりの稀少苗字であることが予想されるので、見つからなくても仕方がないのですが…

しかし、「紫」を「柴」に変えてみたところ、本名であろう方がヒットしました。
「崩柴」は「苗字の百貨店」には載っておらず、ウェブの「写録宝夢巣」でもヒットしないにも関わらずです。
これだけ珍しい苗字なので誤記の定着というよりは、そもそも「崩柴」しか実在しておらず、スキャンミスとして「崩紫」が生まれてしまい、読みだけはそのままになってしまったのではないかと思います。
「崩紫」は削除し、「崩柴」と置き換えました。

それを元に他のものも考えなおしました。
「紫田」という苗字に関してです。
「紫田」はウェブの「写録宝夢巣」で11件も見つかります。
これは「苗字の百貨店」では「しばた」という読みであるとなっております。
「柴田」の誤記の定着なんでしょうね。

しかし、「紫田」で「しばた」と読む実在がなかなか見つかりません。
ありそうではあるのですが、確実にそうだというのがありませんでした。

他の読み方(例えば「むらさきた」とか「しだ」とか)なのかも?という気もしますが、確証が得られません。
そもそもウェブの「写録宝夢巣」で11件も見つかるのに、その11件が全国に飛び飛びで存在するだけというのがおかしいのです。
これまでの経験からいうと、稀少苗字はまず間違いなく集積するのです。

例えば「宍戸」という苗字の誤記定着といわれている「完戸」。
読みとしては「ししど」か「かんと」なのですが、だいたい3つの県に集積しています。
実在も確認できるのです。
「完戸」と書いて「ししど」と読む苗字があるのだから、「紫田」で「しばた」と読む苗字もありそうなのですが、この集積性のなさというのが、怪しいのです。

「崩紫」の件も後押しします。
とりあえず残しておきますが、「紫」と書いて「しば」と読む苗字(他にもありました)はかなり怪しいのではないかと思っております。

2013年9月15日日曜日

霊と礼に関して

連休の真ん中ですね。

なかなか時間もとれなかったのですが、とりあえず「霊」から。
旧字体は「靈」です。
一見すると、苗字では使われそうにない感じですが、それでも20種類ほどありました。
「れい」と読むしかないようですけど、苗字での読み方は「たま」が多いです。
その次はやはり「れい」でした。
「よし」という読みもありました。

法霊崎は「ほうりょうざき」です。実在も確認できました。

「霊山」はそれほど多い苗字ではありませんが、「よしやま」と読むことが多いです。
「よしやま」以外では「たまやま」とか「かみやま」という読みもあります。
いずれも実在を確認できました。
それほど多い苗字でもないのに3つも読み方があり、いずれもが難読であるというのは珍しいです。
「霊」と書いて「かみ」と読む苗字はこれだけだと思います。



次は「礼」です。
旧字体は「禮」です。
「礼」は「牟礼」という単語に絡めた苗字がかなり多いです。
「礼」を用いた苗字は60種類以上ありましたが、1/3ほどは「◯牟礼」という苗字でした。

「礼」は「れい」か「れ」と読みます。
他の読み方はなさそうです。


次は「禄」です。
旧字体は「祿」です。
7種類ありました。
読み方は「ろく」だけでした。

2013年9月14日土曜日

祢と称と袮と宜と冝と宣に関して

本日は「祢」と「称」と「袮」に関してです。
「祢」はシメスヘン、「称」はノギヘン、「袮」はコロモヘンです。
コロモヘンの「袮」がJIS第2水準で、後のふたつは第1水準です。

シメスヘンの「祢」に関しては、9月10日に紹介したばかりです。
以下、そのときの内容を載せておきます。

次は「祢」です。
旧字体は「禰」です。
 「祢」は「角川新字源」では新旧字体表に載っていないそうですが、「弥」と同様に考えれば、「禰」を旧字体と考えても良いでしょう。
ちなみに、この「禰」はJIS第1水準でした。意外ではないですか?

「祢」を用いた苗字は60種類以上ありましたが、読み方は「ね」しかありませんでした。

そもそも「祢宜(禰宜)」という単語があります。これは神職の名称のひとつです。

これが相当にややこしく、「宜」に関しても、見た目が似た漢字で「宣」や「冝」があります。
これらが混じって「祢宜(ねぎ)」という単語に似た苗字がたくさんあるのです。

「祢宜」のつく苗字は「祢宜」、「祢宜沢」、「祢宜田」、「祢宜田谷」、「祢宜洞」、「祢宜元」、「祢宜谷」などですが、これらの中にちょっと漢字が異なるものが混じっているのです。

コロモヘンの「袮」を用いた苗字は「苗字の百貨店」でひとつだけありましたが、これも「祢宜」に似たものでした。
誤記定着かスキャンミスかどちらかだと思いますが、実在が確かめられなかったので、いったん削除することにしました。


ノギヘンの「称」には旧字体があります。
旧字体は「稱」です。
こちらも「祢宜」に似たものがいくつかありましたが、いずれも実在が確認できませんでした。
「称」は「祢」に比べると圧倒的に少ないのですが、その読み方としては「しょう」が多いです。

ただし、「小刀称(ことね)」と「刀称(とね)」に関しては実在が確認できました。
「小刀祢」と「刀祢」の誤記定着系なのでは考えております。
(「刀祢」も昔の役人の名称だそうです)
実在が確認できれば、もちろん残しておきます。


「冝」にも同じようなことが言えます。
「袮」を用いた苗字は「苗字の百貨店」でいくつかありましたが、これも「祢宜」に似たものが多く、いずれも実在が確かめられませんでした。


ちなみに「宜」は「ぎ」か「よし」と読むことがほとんどです。
「宜」を用いた苗字は40種類くらいありました。


「宣」は「のぶ」か「せん」ですね。
「宣」に関しても「ぎ」と読む苗字がたくさん「苗字の百貨店」には載っていて、ひととおり探したのですが、確認はできませんでした。
「宣」で「ぎ」と読む苗字があるとしたら「宜」からの誤記定着だと思いますが、見つからない限りはいったん削除しておきます。

2013年9月13日金曜日

児と乗と浄と将と触に関して

本日は「児」から。
旧字体は「兒」です。

「児」を用いた苗字は100種類ほどあります。

読み方としては「こ(ご)」、「に」、「ちご」がありました。
数としても概ねこの順で多かったです。

「児童」という単語があるので、「じ」という読みもありそうですが、ちょっと見つかりませんでした。

「児堂(ちごどう)」のように「児」を「ちご」と読む苗字もいくつかあります。
これは難しいですね。


次は「乗」です。
旧字体は「乘」です。
「乗」を用いた苗字も100種類以上ありました。
ほとんどが「のり」と「じょう」です。

「乗」一文字でも「のり」と読むことが多いのですが、「よつのや」という読みもありました。
これは実在も確認できました。
「乗智」で「よつのやち」と読む苗字もありました。
(こちらは確認できませんでした)
これは難読です。


次は「浄」です。
旧字体は「淨」です。
「浄」を用いた苗字は40種類ほどでした。
「じょう」が多いですが、「きよ」もありました。



次は「将」です。
旧字体は「將」です。
「将」を用いた苗字はずっと少なく10種類ほどでした。
「しょう」が多いですが、「まさ」と「はた」もありました。


次は「触」です。
旧字体は「觸」です。
「触」を用いた苗字は6種類しかありませんでした。
「しょく」と読みそうですが、苗字としての読みは「ふれ」しかありませんでした。

2013年9月12日木曜日

麦と餅と覧と萌と埒に関して

本日は「麦」から。
旧字体は「麥」になります。
「麦」の入った苗字は40種類ほどありました。
だいたいは「むぎ」という読みでした。

「蕎麦」と書いて「そば」と読む苗字も数種類ありましたが、これは読めるでしょう。


次は「餅」。
旧字体は「餠」です。
「餅」の入った苗字は30種類ほどありました。
読みは「もち」だけですね。


次は「覧」。
旧字体は「覽 」です。
「覧」の入った苗字は10種類もありませんでした。
読み方はほとんど「らん」ですが、「覧村」だけは「みむら」と読みます。
実在も確認できました。
「覧」は訓読みで「み・る」という使い方がありますから読めないことはないでしょうが、少し難しいですね。


次は「萌」。
旧字体は「萠」です。
「萌」の入った苗字はわずかに3種類でした。

「萌抜(はえぬき)」、「萌黄(もえぎ)」、「萌出(もだし or もいで or もえで)」です。
3種類とも読みが異なるところが面白いですね。


次は「埒」。
こちらは旧字体ではなく、異体字という扱いで「埓」があります。
「埒」の入った苗字は「埒(らち)」と「埒見(らちみ)」のわずかに2種類でした。

2013年9月11日水曜日

蘇と曽に関して

本日は「曽」から。
旧字体は「曾」です。
「曽」を用いた苗字は200種類以上あります。
だいたい「そ」と読みます。

「曽良」は「そら」とも読みますが、「かつら」と読むほうが多いようです。
「かつら」とは知らないと読めませんね。
「曽」には「かつて」という意味があり、訓読みでは「かつ・て」があるので、全く関係のない読みというわけではないのですが。

石川県、広島県、山口県に集中しているようです。
集中している箇所が分かれているので、元が違うのかもしれません。


次は「蘇」です。
「蘇」は旧字体ではなく、異体字(俗字)として「蘓」があります。
「蘇」を用いた苗字は30種類以上あります。
こちらも読み方はだいたい「そ」です。

「蘇」一字もだいたい「そ」と読むのですが、「いける」と読むこともあります。
これは実在を確認できました。難読です。

「蘇木」は「そのぎ(そのき)」と読みます。
実在も確認できました。

2013年9月10日火曜日

弥と祢と抜と曳に関して

本日は「弥」から。
旧字体は「彌」です。
「弥」を用いた苗字は100種類以上ありました。
読み方は「や」と「み」が拮抗していました。

「弥冨」や「弥富」は「やとみ」と読むこともありますが、「いやどみ」と読むこともあります。
そのように「弥」と書いて「いや」という読みのものもいくつかありました。

「弥」一文字では「わたり」か「ひさし」と読むそうです。
(実在は確かめられませんでしたが)


次は「祢」です。
旧字体は「禰」です。
 「祢」は「角川新字源」では新旧字体表に載っていないそうですが、「弥」と同様に考えれば、「禰」を旧字体と考えても良いでしょう。
ちなみに、この「禰」はJIS第1水準でした。意外ではないですか?

「祢」を用いた苗字は60種類以上ありましたが、読み方は「ね」しかありませんでした。


次は「抜」。
旧字体は「拔」です。
「抜」を用いた苗字は40種類以上ありました。

読みはだいたい「ぬき」ですね。
「抜井(ぬくい)」など一文字目に「抜」がくるときは「ぬく」と読むこともあります。
二文字目で「ぬく」と読むのは「田抜(たぬく)」くらいでした。


次は「曳」です。
旧字体ではないのですが、俗字として「曵」があります。
「曳」がJIS第1水準で、「曵」が第2水準です。
「曳」を用いた苗字は20種類以上ありました。
読みは「ひき(びき)」だけでした。

2013年9月9日月曜日

草と並に関して

「草」の異体字は「艸」です。
旧字体ではないです。

「草」を使う苗字は200種類以上もありました。
読み方はほとんどが「くさ」で、「そう」と読むのが全体の2割くらいだったでしょうか。

変わった読みのものもいくつかあったのですが、どれも実在が確かめられませんでした。

「艸」という漢字を使った苗字のひとが、普段は「草」と名乗っているか?
例えば「艸野(くさの)」という苗字のひとを「草野」に併せてしまって良いのか?

悩ましいところです。
後に訂正するかもしれません。

「並」の旧字体は「竝」です。
こちらはきちんと旧字体の扱いですが、これも形はずいぶんと違います。
知らないと旧字体とは思えないです。

「草」と「艸」を形が全く違うから別集計すべきだと言いだすと、この「並」と「竝」はどうなんだ?ということになってしまい、収集がつかなくなってしまう気がします。

「並」を使った苗字は140種類ほどありました。
読みはほぼ「なみ」だけですね。

「並河」という苗字があり、「なみかわ」と読むことが多いようですが、「なびか」という読みも確認できました。
確認できたなかでは唯一の「なみ」以外の読みをもつ苗字です。

2013年9月8日日曜日

岩と巌と岳に関して

以前に「巌」の旧字体として「巖」を紹介しました。
8月6日の分です。

そのとき、「巌」の簡体字として「岩」が出ていたのですが、これは別の字として集計するとしました。

今後、似たような例が出てきたときの判断基準として、『簡体字に置き換えた場合、その苗字が存在しなくなる、もしくは極端に少なくなることが多い』ものは別字扱いとするというルールを設けました。

それはそれで良いのですが、「巌」の簡体字として「嵓」、「岩」の繁体字として「嵒」という漢字があることをうっかりしていました。

嵓」はJIS第3水準です。
それなのでこの漢字はご覧になっている環境によっては、見えないかもしれません。
基本的にはJIS第3水準の漢字は他に置き換えられるものがあるときは、置き換える漢字に併記することにしています。
JIS第3水準と第4水準は検索もしにくいですが、名乗る方も大変だろうと思います。


それでも4種類ほどありました。
全て「巌」に併記する形としました。

「嵓」と非常に似ていますが、「嵒」は「岩」の繁体字です。
そもそも「巌」と「岩」が同じ意味をもつ漢字なので仕方がないです。
wiktionaryで見ると、非常に複雑です。

嵒」はJIS第2水準でした。
この漢字を用いた苗字は3種類ほど見つかりました。
これも「岩」に併記することとしました。


次に「岳」です。
旧字体は「嶽」です。
形がずいぶんと違うので、「嶽」を用いた苗字の方が「岳」に置き換えるのかという疑問はありますね。
ただしっかりと旧字体という扱いになっているので、まとめることにします。

読み方は「がく」が多いですが、「おか」と「たけ」という読みもあります。

これとは別に「獄」という漢字があります。
「地獄」の「獄」ですね。
これは「ごく」と読むJIS第1水準の漢字です。
この字を用いている苗字も10種類以上ありましたが、全て「たけ(だけ)」と読んでいました。
実在も確かめられます。
本来の「獄」という漢字にはない読みです。
すなわち誤記の定着系の苗字ですね。おそらく。

嶽」からの置き換えなのでしょう。
全て「獄」を嶽」に変換しても成立する苗字ばかりでしたから。
見た目だけで考えたら、嶽」は「岳」よりも「獄」に似ていますから。
もちろん「獄」は「岳(嶽)」とは別集計にします。

2013年9月7日土曜日

巻と気と権と讃と区に関して

またペースが落ちているので、簡単にまとまりそうなのを選んでいきます。

「巻」の旧字体は「卷」です。
「巻」を使う苗字は140種類ほどあります。

10000人以上いるメジャーなものは意外に少なく、「八巻(やまき)」くらいでした。
読みはほぼ「まき」だけしかないようです。

「巻木」という鹿児島県に集中している苗字があります。
だいたいは「まきき(まきぎ)」と読むようですが、「まっき」と読む方もいました。
これは実在も確認できました。
「巻」と書いて「まき」と読まない例外的なものでした。


次は「気」。
旧字体は「氣」になります。
50種類くらいあります。

読み方は「き(ぎ)」か「け」だけです。
やや「き」の方が多いですが、「け」もかなりありました。


次は「権」。
旧字体は「權」です。
こちらも50種類ほどありました。
読み方は「ごん」が多いです。「けん」もありますが、少数派でした。


次は「讃」。
旧字体は「讚」です。
10種類ほどありました。

読み方は「さ」が多いです。
「讃岐(さぬき)」という地名を考えてみれば、わかりやすいですね。
「さん」という読みもあります。

「讃良」という苗字があります。
これは「さがら」か「さわら」と読みます。
どちらの読みも確認できました。
難読ですね。


次は「区」。
旧字体は「區」になります。
3種類しかありませんでした。
いずれも稀少なものばかりでした。

2013年9月6日金曜日

営と栄に関して

本日は「営」から。
旧字体は「營」です。
苗字としては使われていそうで、実はあまりなく。
4種類しかありませんでした。
そのうち3種類は、そのまま「えい」でした。
唯一、「営田」だけは「つくた」と読んでいました。
実在も確認できました。
「営」という漢字から「つく」という読みは思いつきませんが、どういう由来なのでしょうか?


次は「栄」。
こちらの旧字体は「榮」です。
こちらは「営」と異なり、200種類以上もありました。
読み方も多様です。
多いのは、やはり「えい」です。
次に多いのは「え」ですね。
この「えい」か「え」かの違いに法則性のようなものが見いだせませんでした。

もちろん、「さかえ」という読みもありました。
他には「さか」や「はえ(ばえ)」という読みも多かったです。

例えば、「◯栄」という苗字があったとして、その場合の「栄」を「えい」と読むか、「え」や「さか」や「はえ(ばえ)」と読むかが全く分からなかったです。

「栄祝」は「さいわい」と読みます。
実在も確認できました。
「栄」を「さ」と読んでいます。
他にもありそうですが、「さ」と読んでいるのはこれだけのようでした。

「光栄」は「みつはな」と読みます。
これも実在を確認できました。
「栄」を「はな」と読んでいるんですね。

「花栄」は「はなえ」と読むことが多いようですが、「はなぶさ」と読むこともあるそうです。
(実在は確認できませんでした)
「栄」一字でも「さかえ」と読むことが多いのですが、やはり「はなぶさ」と読むこともあるそうです。
(こちらも実在は確認できませんでした)

「栄子」は「えます」と読むそうです。
これも確認できませんでした。
ファーストネームとしてもありそうな名前というのは、確認がしにくいです。

「保栄茂」という苗字があります。
沖縄県に集中している苗字です。
読み方は「ほえも」だそうです。
地名としてもあります。
これを「びん」と読むこともあるそうです。
地名としては「保栄茂」と書いて地元では「びん」と読んでいるそうですが、苗字としてもそのように名乗っている方がいるのでしょうか?




2013年9月5日木曜日

廻と廼に関して

本日は「廻」から。
こちらは旧字体ではなく異体字という扱いで「迴」があります。

「廻」の入った苗字は60種類ほどあります。

「廻」という漢字は、音読みでは「かい」、訓読みでは「まわ・る」ですね。
苗字の読みとしても「まわり」や「かい」が多いです。
そのふたつに並んで多いのが「さこ(ざこ)」という読みでした。

次に多いのが「めぐり」です。
「廻」と書いて「めぐり」と読む。
連想ゲームみたいですね。
ちょっと難しいです。

この漢字はとにかく読みが多彩です。
「廻上」と「廻神」。
このふたつは「えがみ」と読みます。
「廻」で「え」と読んでいるわけですね。
(「廻神」には「めぐりがみ」という読みもあります。実在も確認できました)

「大工廻」という苗字もあります。
これは「たくえ」と読みます。
やはり「え」と読んでいるわけですが、他に「だくじゃく」という読みも確認できました。
「だくじゃく」というのは沖縄県の地名だそうです。

他に「水廻」という苗字もあります。
実在は確認できませんでしたが、「すもうり」と読むそうです。

「廻立」は「まわたち」という読みが確認できました。

「三廻部」は「みくるべ」です。これも確認できました。

「竹廻間」は「たかば」と読みます。これも確認できました。
難しい!
「竹廻間」には「たけはざま」という読みもあるそうですが、こちらの実在は確認できませんでした。
ただ、「廻間」と書いて「はざま」と読む地名があるので、苗字としてもありそうですね。

「門廻」は「せど」と読みます。
こちらも確認できましたが、かなり難読です。
どういう由来なのでしょうか?

「樋廻」は「ひばさみ」と読むことが多いようです。
「樋廻」には「ひまわり」という読みもありますが、「ひばさみ」の方が多いです。
すごい稀少な苗字ではないようですが、「廻」と書いて「ばさみ」と読むのは難しいです。

いったい何種類あったのでしょうか?
「廻」という漢字の読みは難しいです!


「廼」は、ずっと簡単です。
異体字が「迺」になります。
苗字としては20種類もありません。
あまり用いられない漢字なので読みにくいかもしれませんが、読み方は「の」しかありませんでした。
知っていれば読めるのでしょう。

2013年9月4日水曜日

遥と瑶と達に関して

できるだけ似たような形の漢字をまとめておこうと思っています。

本日は「遥」から。
旧字体は「遙」です。
苗字としては「遥山」と「遥地」のふたつしかありませんでした。
「遥山」は「はるやま」と読みます。
「遥山」も「遙山」もウェブの「写録宝夢巣」で見ると佐賀県でしか認められないかなりの稀少苗字です。
この珍しい苗字を新字体か旧字体かの違いだけで別の苗字として集計するのは、気が引けます。
おそらく戸籍上は「遙山」となっていて、戸籍上の漢字のまま使っているひともいれば、面倒なので「遥山」と置き換えて使っているひともいるという解釈で良いのではないでしょうか。

「遥地」は「ようち」と読みます。
こちらもかなりの稀少苗字です。


次は「瑶」。
旧字体は「瑤」です。
こちらは4種類。
読みは「たま(だま)」だけのようです。


次は「達」。
こちらは旧字体ではなく俗字という扱いですが、「逹」があります。
「達」の入った苗字は120種類くらいあります。
読みは「たつ(だつ)」や「たち(だち)」が多いですが、「たて(だて)」という読みも意外とありました。
「達」の音読みは「たつ」と「たち」だけなので、「たて」というのは誤植かなとも思いましたが、相当な数があるので、やはり正しいようです。

「伊達」というメジャーな苗字があり、これは誰でも「だて」と読めますよね。
なぜこれを「だて」と読むのか?
どうも「伊」を発音していないらしいです。つまり「伊」を発音せず、「達」だけで「だて」と読んでいるようなのです。それならば他にも「達」と書いて「たて(だて)」と読む苗字が多いことも納得できる気がします。

「達谷窟」という稀少苗字があり、これは「たがや」と読みます。
かなり難しいですね。
「達」と書いて「た」とだけ読むものもいくつかはありました。


2013年9月3日火曜日

渋と摂と轟に関して

本日は「渋」から。
旧字体は「澁」です。

先に他の漢字も紹介してしまうと、「摂」の旧字体は「攝」です。

「轟」に関しては、旧字体ではなく異体字(俗字)という扱いですが、「軣」という漢字があります。

「渋」と「摂」の場合は似ていますね。
同じ漢字(この場合、「止」や「耳」)を3つ並べる部分を略している形になっています。

「轟」は逆で、略している形の、「軣」が俗字という扱いになっています。
「轟」はJIS第1水準の知られている漢字ですし、「軣」は第2水準なので、問題ないと思います。


では「渋」から。
苗字としては50種類ほどありました。
意外に少ないなと思いました。
10000人以上いるようなメジャーなものも「渋谷(しぶやor しぶたに)」しかありませんでした。
「渋」の読み方は「しぶ」しかありませんでした。

「渋谷」は山形県などの東北地方ではベスト100に入るほどのメジャーな苗字です。
神奈川県を中心とした関東地方にも集積があります。

大阪府に「渋谷(しぶたに)」という地名があり、「しぶたに」という読みはそちらを中心として見られるようです。
青森県周辺でも「しぶたに」が多いようです。


「摂」は6種類ほど。
どれもそれほど多い苗字ではありませんでした。
読み方は「せつ」か「せっ」でした。


「轟」は5種類ほど。
「轟」一字で「とどろき」と読む苗字が最も多かったです。
「轟之上」という苗字が「とどろきのうえ」と読みます。
「轟」と書いて「とどろき」と読むのは、実はその2つだけでした。

後の3種類(「轟井」、「轟木」、「轟原」)はいずれも「轟」で「とどろ」と読んでいます。
「轟く(とどろく)」という単語を考えれば当然の読みですが、「轟原」で「とどろはら」というのは意外に難読ではないでしょうか?

ちなみに「とどろき」というと、「等々力」という地名が有名ですね。
「等々力」という苗字もあります。
「とどろき」と読むこともありますが、「とどりき」という読みもあり、比率も半々くらいなようです。
普通に読めば「とどりき」の方が自然ですが、つい「とどろき」と読んでしまいそうです。


「舎利弗」という苗字があります。
これでも「とどろき」と読みます。
実在も確かめられました。
これは読めません!
仏教用語なのでしょうが、どうしてこのような読み方になったのか知りたいところです。

2013年9月2日月曜日

仮と恋と酔と属に関して

「仮」の旧字体は「假」です。
40種類以上ありました。

「假屋崎」という苗字の有名人がいますが、「假」が「仮」の旧字体であることを知っていれば読みやすいですね。
「仮」はほとんどが「かり」と読みますが、「か」と読むものもありました。

「仮坂」という稀少苗字がありますが、これだけは「いいさか」と読みます。
実在も確かめられました。
難読です。


「恋」。
旧字体は「戀」です。
こちらは10種類くらいですが、全て読みは「こい」でした。
これは簡単ですね。


次は「酔」。
旧字体は「醉」です。
これは6種類ありました。
苗字に用いられそうもない漢字ですが、やはり少ないですね。
読みは難しいです。
「朝酔」は「あさよい」だそうです。
「五酔」と「馬酔」は「ごすい」と「ますい」です。
「馬酔」は実在を確認できましたが、他のふたつはできていません。

「上酔尾」と「下酔尾」という苗字があり、どちらの実在も確認できました。
「かみえのお」と「しもえのお」と読みます。
鹿児島県に「酔ノ尾(酔之尾)」という地名がありました。

「馬酔木」という苗字があります。
「あせび」と読みます。
ツツジ科の低木のことだそうです。
かなりの稀少苗字ですが、他に「ますき」や「ませき」といった読みもあるそうです。
その実在は確認できませんでした。


次は「属」。
旧字体は「屬」です。
4種類しかありませんでしたが、どれも難読です。
「属」一字では「さっか」と読みます。
けっして少ない苗字ではありません。
7-8世紀頃の四等官制が由来のようで、「さかん」という読みもあるようです。
(「さっか」は確認できましたが、「さかん」はできませんでした)

「属増」で「さかんぞう」と読む苗字もありました。
難読ですが、実在は確認できました。

後は「生属」と「肝属」という苗字があります。
「いきつき」と「きもつき」と読みます。

2013年9月1日日曜日

巳と己と已に関して

本日は「巳」と「己」と「已」の違いに関してです。
これも見た目が同じようです。

「巳」は「巳年(みどし)」の「み」です。
つまり「ヘビ」のことです。
他の用法ではほとんど使われないようです。

苗字としては40種類くらい使われています。
読みとしては全て「み」です。
特に「辰巳(たつみ)」という苗字は10000人以上もいるメジャーなものです。

この「辰巳」と実によく似た苗字で「辰己」と「辰已」があるのです。
実在しているのです。

よくある「角」という字の真ん中が下に出ているとかいう話ではないのです。

「巳」も「己」もJIS第1水準です。
「己」は「おのれ」と読みますから、当然です。
「已」もJIS第2水準なのです。音読みでは「い」と読みます。

ですから、いずれも普通に表記できますし、全て別の漢字なのです。
ややこしいですね。


「己」の方が一般的にはよく用いられていそうな印象ですが、苗字としては30種類くらいで、「巳」よりも少ないのです。
そして大半が「み」と読むのです。
誤記定着系の苗字と考えて間違いないと思います。

違うのは「和己(かずき)」と「己斐(こい)」、「己斐田(こいだ)」くらいでした。
「己」は音読みで「き」や「こ」と読むのです。

「己斐」というのは広島県にあった地名だそうです。


「已」は更に少なく5種類ほど。
全て「巳」に置き換えられそうでした。

別の漢字ですし、JIS第2水準までに入っている漢字なので、これらの苗字は全て別々に集計する必要があります。