2013年8月31日土曜日

采と釆に関して

「采」は「手で植物などを摘みとる」という意味のある漢字です。
「采配(さいはい)」という単語がありますね。
「採」という漢字の右側です。
音読みで「さい」と読みます。

「釆」は見た目が似ていますが、音読みでは「はん」とか「べん」と読みます。
どちらもJIS第1水準で、別の漢字です。

「采女(うねめ)」という単語があります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%87%E5%A5%B3

wikipediaに解説が色々と書いてあります。

三重県には「釆女町(うねめちょう)」というのがあります。

「釆」がどのような意味をもつ漢字なのかはよく分かりませんでしたが、なんとなく「采」が元で、その誤記の定着であるような印象ですね。
(違ったら申し訳ないです)

どちらの漢字でも「采女」と「釆女」があり、「うねめ」と読むわけです。
当然、苗字としても両方があります。

「采」を用いた苗字は30種類くらいあります。
最も多いのはやはり「采女(うねめ)」で、1,000人以上はいるみたいです。
「うね」以外には「さい」や「わけ」と読みます。
「わけ」と読むのは難しいですね。

「釆」は「采」に比べると、ずいぶんと少なくなります。
20種類もないくらいで、「釆女(うねめ)」も200人弱のようです。
地名として使われているくらいなので問題はないと思いますが、スキャンミスである可能性も否定できないので、そのうちしっかりと調べなおす必要があります。

「河釆」という稀少苗字があります。
これだけは「かわかつ」と読むそうです。
実在は確かなようですが、確認まではできませんでした。
「釆」という漢字を調べても、「かつ」という読みはないので不思議です。
何かの置き換えなのでしょうか?

他の「釆」のつく苗字は全て「うね」という読みです。
唯一、「釆垣内(うねがいち)」という苗字だけが「釆」を「采」に変えたときに見つかりませんでした。
(ウェブの「写録宝夢巣」で)

2013年8月30日金曜日

茎と経と軽に関して

「茎」の旧字体は「莖」です。
苗字としてはあまり使われないですね。6種類くらいでした。
読み方も「くき」だけです。


「経」の旧字体は「經」です。
こちらはもう少し多いです。30種類以上あります。
読み方は「きょう」と「つね」が半々くらいです。
もちろん「けい」という読みもありますが、「きょう」と「つね」に比べると少なめです。
ちょっと意外な気がしました。

「経種」という苗字があります。
読みは「えだね」か「いだね」です。
どちらの実在も簡単に確かめられます。
「えだね」の方が少し多いみたいです。
どちらにしても難読ですね。


「軽」の旧字体は「輕」です。
こちらも30種類くらい。
読みは「かる or がる」だけでした。
「軽井沢」とか「津軽」といった地名がありますが、苗字としてはそれほどの数がなく、最も多いのは「軽部」という苗字でした。

本日はちょっと短めですが、キリが良いのでここまでにします。

2013年8月29日木曜日

学と囲と歓と帰に関して

本日は「学」から。
旧字体は「學」になります。
あまり苗字として用いられなさそうな漢字ですが、それでも20種類以上ありました。
読み方は、ほぼ「がく」で良いです。
ただし「学」一字の苗字は「まなぶ」と読むそうです。

「華学」という稀少苗字があります。
読み方は「はなさと」だそうです。
これを見たときは、てっきり誤植だろうと思ってしまいました。
他に「学」と書いて「さと」と読む例がないし、ちょっと読めないからです。
しかし、検索すると実在が確かめられます。
これは難しいですね。


次は「囲」。
旧字体は「圍」です。
こちらの方が「学」よりは苗字として使われていそうですが、実際には6種類くらいしかありませんでした。
「い」と読むものが3種類、「かこい」と読むものが2種類でした。
「囲夜」という稀少苗字がありまして、これは「かいや」と読むそうです。


次は「歓」。
旧字体は「歡」です。
こちらも6種類でした。
「かん」と読むものが2種類、「よし」と読むものが2種類でした。
「合歓垣」という苗字がありますが、これは「ねむがき」と読むそうです。
実在も確かめられました。
どういう由来なのでしょうか?難読です。


次は「帰」。
旧字体は「歸」です。
こちらは20種類ほどありました。
読み方はほとんど「き」で良いです。
「かえり」と読むケースもいくつかありました。

「帰家」という苗字があります。
これだけは「かんや」と読むそうです。
(「きや」と読むこともあるそうです。実在は「かんや」だけ確認できました)

2013年8月28日水曜日

応と拝と鈎と釜と箆に関して

本日は「応」から。
旧字体は「應」です。
ずいぶんと形が違うし、難しいけれど「慶応(慶應)」大学って普通に使われていますし、これが旧字体であることは知られていると思います。
読みは「おう」で良いと思います。
いくつかは直前の漢字にあわせて「のう」に変化したり、「お」で止まっていたりするものもありましたが、読めないものはないと思います。
60種類くらいありますね。


「拝」の旧字体は「拜」です。
30種類くらいです。
読み方は「はい」だけでした。


次は「鈎」。
これは旧字体ではないのですが、異体字の関係にあるものとして「鉤」があります。
どちらも「まがり」と読みます。
苗字としては「小鈎(おまがり)」と「鈎(まがり)」しかないようです。
「鈎」も「鉤」も京都府と滋賀県に限局していました。


次は「釜」。
これも旧字体ではないのですが、異体字として「釡」があります。
パッと見には同じに見えます。
こちらは140種類くらいありますが、読みは「かま(がま)」しかありません。


次は「箆」。
見慣れない漢字かもしれませんが、物を練るときにつかう「ヘラ」を漢字にしたものです。
旧字体ではないですが、異体字として「篦」があります。
「箆伊」という稀少苗字があり、これは「へらい」と読みます。
後はだいたい「の」と読みます。
読み方としてはそれしかないので、知っていれば簡単ですが、なかなか読めないし書けないですね。

ランダムに読み方の単純そうなのを5つ紹介してみました。

2013年8月27日火曜日

芦と鈩と枦に関して

「芦」は「蘆」の簡体字という扱いになっています。
新旧字体表には載っていません。
「芦」は簡易慣用字体と記載されています。
JISでは「芦」が第1水準で、「蘆」は第2水準でした。

実際に苗字を数えてみると、「芦」のつく苗字は90種類弱。
「蘆」のつくものは20種類弱で、ほぼ全てが「芦」と置き換えても実在するものばかりでした。

そのため、「蘆」と戸籍上ではなっていても、普段は「芦」を用いているひとが多いのではないかと判断しました。
ついでにいうと、後で紹介する「鈩」、「枦」も新旧字体表には出ていませんでした。
しかし、類似の漢字である「炉」は載っていました。この旧字体は「爐」です。

同じように「鈩」の異体字として「」、「枦」の異体字として「櫨」があるので、これらを新字体と旧字体の関係と考えてもおかしくないと思います。


「芦」は圧倒的に「あし」と読みます。

「芦」とつくもので最も多い苗字は「芦田」で、多くは「あしだ」と読みますが、「よしだ」と読む方もいます。
そのように「よし」と読むものもあるので、注意が必要です。
「鵜芦」は「うがや」と読みます。
実在も確かめられましたが、なぜそうやって読むのかはよくわかりませんでした。

「芦港」で「ろこう」と読むそうです。
「芦」一字もだいたいは「あし」と読みますが、「ろ」と読む方もいるそうです。
「芦」と書いて「ろ」と読むものはそれくらいでした。
(実在は確かめられませんでしたが)


上で記載したように「炉」の旧字体は「爐」です。
「炉」を用いた苗字は3種類しか確認できず、どれもかなりの稀少なものばかりでした。
これを旧字体に置き換えたものは見つかりませんでした。


「鈩」はもう少し多く、8種類ほどありました。
読み方は全て「たたら」です。
「鈩」も「鑪」もともにJIS第2水準で、あまり見慣れないものですよね。
第2水準同士だと置き換える意味もあまりないのかな?と思います。
実際に調べると「鑪」の方が、「鈩」よりも多いくらいでした。
ウェブの「写録宝夢巣」で見ると、集中している地域は似ているので、ほとんどの方は「鑪」のままで用いており、一部の方が「鈩」と名乗っているのでしょうか?

戸籍上でも旧字体から新字体への変更は可能ということですが、こういうケースも可能なのでしょうか?


「枦」もややこしいです。
「枦」を用いた苗字は20種類以上あります。
ややこしいのは簡単に見える「枦」がJIS第2水準で、「櫨」の方が第1水準だということです。
「櫨」というのはウルシ科の落葉樹だそうです。
「はぜ」と読みます。
落葉樹として用いる場合は、もっぱら「櫨」の漢字を用います。

苗字としてはどちらもあります。
例えば一字の「櫨」という苗字。これは愛知県に集中しています。
「枦」一字の苗字は鹿児島県に集中しています。
読みはいずれも「はじ」であることが多いです。
集中している地域が異なっているので、元から違うのでしょう。

読み方としては「はぜ」が多いのですが、「はじ」や「はし」という読みもあります。
一部では「うつぎ」と読むものもありました。

「内枦保」と「外枦保」という苗字がありまして、これは「うちへぼ」と「そとへぼ」と読みます。
「枦」と書いて「へ」と読むのは、このふたつだけでした。

この漢字の扱いは相当に難しいです。
同じ意味を持つ漢字で、「炉」と「爐」のように本来は新字体と旧字体の関係であるはずなのに、「櫨」の方がポピュラーになってしまっています。
ただし「枦」を用いた苗字の方もかなりあるのです。

悩ましいですが、部首が違う他の漢字と揃えて、「枦」と「櫨」もまとめておくことにしました。