「芦」は「蘆」の簡体字という扱いになっています。
新旧字体表には載っていません。
「芦」は簡易慣用字体と記載されています。
JISでは「芦」が第1水準で、「蘆」は第2水準でした。
実際に苗字を数えてみると、「芦」のつく苗字は90種類弱。
「蘆」のつくものは20種類弱で、ほぼ全てが「芦」と置き換えても実在するものばかりでした。
そのため、「蘆」と戸籍上ではなっていても、普段は「芦」を用いているひとが多いのではないかと判断しました。
ついでにいうと、後で紹介する「鈩」、「枦」も新旧字体表には出ていませんでした。
しかし、類似の漢字である「炉」は載っていました。この旧字体は「爐」です。
同じように「鈩」の異体字として「鑪」、「枦」の異体字として「櫨」があるので、これらを新字体と旧字体の関係と考えてもおかしくないと思います。
「芦」は圧倒的に「あし」と読みます。
「芦」とつくもので最も多い苗字は「芦田」で、多くは「あしだ」と読みますが、「よしだ」と読む方もいます。
そのように「よし」と読むものもあるので、注意が必要です。
「鵜芦」は「うがや」と読みます。
実在も確かめられましたが、なぜそうやって読むのかはよくわかりませんでした。
「芦港」で「ろこう」と読むそうです。
「芦」一字もだいたいは「あし」と読みますが、「ろ」と読む方もいるそうです。
「芦」と書いて「ろ」と読むものはそれくらいでした。
(実在は確かめられませんでしたが)
上で記載したように「炉」の旧字体は「爐」です。
「炉」を用いた苗字は3種類しか確認できず、どれもかなりの稀少なものばかりでした。
これを旧字体に置き換えたものは見つかりませんでした。
「鈩」はもう少し多く、8種類ほどありました。
読み方は全て「たたら」です。
「鈩」も「鑪」もともにJIS第2水準で、あまり見慣れないものですよね。
第2水準同士だと置き換える意味もあまりないのかな?と思います。
実際に調べると「鑪」の方が、「鈩」よりも多いくらいでした。
ウェブの「写録宝夢巣」で見ると、集中している地域は似ているので、ほとんどの方は「鑪」のままで用いており、一部の方が「鈩」と名乗っているのでしょうか?
戸籍上でも旧字体から新字体への変更は可能ということですが、こういうケースも可能なのでしょうか?
「枦」もややこしいです。
「枦」を用いた苗字は20種類以上あります。
ややこしいのは簡単に見える「枦」がJIS第2水準で、「櫨」の方が第1水準だということです。
「櫨」というのはウルシ科の落葉樹だそうです。
「はぜ」と読みます。
落葉樹として用いる場合は、もっぱら「櫨」の漢字を用います。
苗字としてはどちらもあります。
例えば一字の「櫨」という苗字。これは愛知県に集中しています。
「枦」一字の苗字は鹿児島県に集中しています。
読みはいずれも「はじ」であることが多いです。
集中している地域が異なっているので、元から違うのでしょう。
読み方としては「はぜ」が多いのですが、「はじ」や「はし」という読みもあります。
一部では「うつぎ」と読むものもありました。
「内枦保」と