2013年10月13日日曜日

万と励と蛎と砺に関して

本日は「万」から。
旧字体は「萬」です。
このふたつが同じ意味があるということは誰でも知っていると思いますが、実際に新字体と旧字体の関係だというのは想像しにくいです。
形が全く違いますし。

「萬」を用いた苗字の方が、日常的に「万」と置き換えて名乗っているというのは考えにくいです。
しかし実際に新旧字体表に出ているので、置き換えて名乗ることもできないことはないわけです。
この後に紹介する他の漢字との整合性をとるためにも、まとめておきます。

「万」を用いた苗字は200種類以上あります。
読み方は「まん」が多いですが、「ま」や「ばん」もあります。

他には「よろず」や「よろ」と読む苗字も数種類ずつありました。

「万里小路」は「まりこうじ」と読むこともありますが、「までのこうじ」と読むことの方が多いようです。
由緒ある苗字のようです。
実在も確認できました。

「万木」はいろいろな読み方がある苗字ですが、多い読みは「ゆるぎ」です。
これも実在が確認できました。
(次に多い読み方は「よろぎ」です)
「万」を「ゆる」と読むのは、これだけです。難読です。

「万沢」は「まんざわ」と読むことが多いのですが、「かずさわ」という読みも確認できました。

他に「苗字の百貨店」では、「万豆」で「はず」、「万辻」で「もつじ」と読む苗字が載っていましたが、実在は確認できませんでした。


次は「励」。
旧字体は「勵」です。

「励」を用いた苗字は1種類しかありませんでした。
「励」一字で「はげみ」と読む苗字がそれです。
実在も確認できました。

「励」一字で「れい」と読む場合もあるそうですが、こちらは確認できませんでした。


次は「蛎」です。
「蛎」はそもそも常用漢字ではないので、新旧字体表には載っていないのですが、異体字として「蠣」があります。

「蛎」を用いた苗字は10種類ほどありました。
読み方は「かき」だけです。


次は「砺」です。
こちらも常用漢字ではないです。
異体字として「礪」があります。

「砺」を用いた苗字は5種類ありました。
あまり見たことのない漢字ですが、「砺波(となみ)」という苗字などは1000人ほどいるようで、決して稀少苗字というわけではありません。


本日は「万」が入った漢字を紹介しました。
「万」が入った漢字というと「栃木」の「栃」もそうですが、「栃」の「万」を「萬」に置き換えた「櫔」という漢字はJIS第4水準で、苗字としては使われていないか、使われていたとしても相当に珍しいのではないかと思います。

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