2013年8月7日水曜日

躰と壺に関して

「躰」という漢字のつく苗字に関して調べなおしました。
「体岡」という鹿児島県に5件だけある苗字が唯一、「体」という漢字だけの苗字でした。
後は全て「躰」の方が圧倒的に多いか、せいぜい同程度かといった感じでした。

後、「體」を使った苗字も1種類だけありました。
これは「体」の旧字体です。
「体」が新字体で、「體」が旧字体、「躰」は俗字体ということです。
「體」と「躰」はJIS第2水準でした。

「正躰」とか「躰中」、「躰長」といった苗字があり、これらは「体」の置き換えはなく、「躰」のみでした。
「体」にしてしまうと、苗字っぽくなくなってしまうからでしょうか?

悩みましたが、「体岡」も含めて全て「躰」で置き換えたものを例外的に代表例として、併記として「体」や「體」を記載することにしました。


最初は、単に旧字体の漢字がある苗字を新字体の欄に併記するだけで良いだろうと思っていましたが、予想以上に大変な作業だなと思いはじめました。


もうひとつ、「壺」という漢字に関してです。
辞書には「壺」という漢字で載っていることが多いですが、拡張新字体というもので「壷」というものがあります。ただ辞書によっては「壷」の方を異体字として記載しているのもありました。
JISでは「壷」が第1水準で、「壺」が第2水準です。
これも悩ましいですね。

実際には「壷井」など「壷」のつく苗字は概ね「壷」の方が多く、「壺」の方が少数派でした。
名乗っているひとが多く、JIS第1水準であるということを考え、「壷」に「壺」を併記する形にしました。

2013年8月6日火曜日

厳と巌と躰に関して

前々回に書いた「厳」のつく苗字の話題の続きです。
「厳」の旧字体は「嚴」です。

似ていますが、「巌」の旧字体は「巖」になります。
上に「山」があるかないかですね。

「厳」という漢字が苗字に用いられるとき、だいたいは「げん」と読むと書きましたが、「巌」は「いわ」か「がん」と読みます。
そもそも「巌」を辞書で引くと、「岩」って書いてありますからね。
wiktionaryには「巌」の簡体字として「岩」が出ています。

ここに悩みました。
「巌」も「巖」も全て「岩」として、まとめてしまうべきなのか?


話題は変わりますが、これと同じように悩んだ漢字で「躰」というものがあります。
「体」の旧字体として「體」がありますが、俗字体として「躰」も出ています。
そのため、新字体として統一するのであれば、「躰」のつく苗字は「体」に統一してしまうべきなのか?
「躰」を用いた苗字はそれほど多くはありませんが、それでも10種類近くあります。
そしてそのほとんどが、「体」よりも「躰」の方が多いのです。
特に「西躰(にしたい)」という京都府と兵庫県に集中している苗字の場合、ウェブの「写録宝夢巣」で「西躰」が37件もあるのに、「西体」は0なのです。
さすがに0である苗字に統一するのは厭です。

この「躰」に関しては例外的な扱いにすべきかどうか悩み中です。

同じことが「巌」にも言えます。
「巌」を用いた苗字の場合、それが「岩」と置き換えた苗字が存在しないことが結構あるのです。
悩みましたが、私としては、「巌」と「岩」は別字という扱いでいこうと思います。


今後、似たような例が出てきたときの判断基準として、『簡体字に置き換えた場合、その苗字が存在しなくなる、もしくは極端に少なくなることが多い』ものは別字扱いとするということにしておきます。

もう一点。「巌」と「厳」は類似しているので、読みが重複しているものが多いのです。
「厳」と書いて「いわ」と読む苗字も5-6種ありました。
前々回に紹介した「厳樫」と同じ読みの「巌樫」というのもありました。
これらが誤記の定着した苗字なのか、スキャンミスによる幽霊苗字なのかの判断が悩ましいのです。
唯一、「厳田」と書いて「いわた」と読むひとは見つかりました。
そのため、「厳」と書いて「いわ」と読むケースが他にもないわけではないと思います。
迷いますが、見つからなかったものは、幽霊苗字と考え、いったん削除することにしました。

「巌」に関して、後ひとつ。
「苗字の百貨店」には「大巌」と書いて「おおいし」と読む苗字が紹介されています。
ウェブの「写録宝夢巣」で見ると全国で1件の苗字です。
「おおいわ」ではなく、「おおいし」と読む?
本当でしょうか?

後、単に「巌」と書く苗字もあります。
全国で100件以上もあります。
これは「いわお」と読みます。それは良いです。
「苗字の百貨店」ではカッコつきで「おおみや」という読みが紹介されています。
カッコつきというのはその読み方が1割以下の稀なものなのですが、これは読めません。
ちょっと信じらません。
実在を確認したいのですが、難しいですね。

2013年8月5日月曜日

誉と芸と豊に関して

ちょっとずつ書き忘れることがあったので最初に記載しておきます。

「烏」の話が出た時に書いておけば良かったのですが、カラスには「鴉」という漢字もあります。
どちらも同じようにカラスと読みますが、このふたつは全く別の漢字のようで、異体字の関係ではないようです。
そのため、「烏」のつく苗字と「鴉」のつく苗字が同じようにあるのですが、これをまとめてしまうことはもちろんしません。


といったわけで、本日の話へ。
とりあえず、苗字としてはあまり使われなさそうな漢字から、新字体と旧字体をまとめていくという作業を続けます。

「誉」、「芸」、「豊」を調べました。
全くランダムに選んでいますね。
それぞれ、「譽」、「藝」、「豐」が旧字体になります。


「誉」のつく苗字で最も多いのは「誉田」で、これは「ほんだ」とか「こんだ」とか読みます。
しかし、これ以外はほとんど「よ」と読みます。
例外的に「誉本」という苗字があって、これは「たかもと」と読むそうです。
ちょっと真偽までは確かめられませんでしたが。
「誉本」はウェブの「写録宝夢巣」では見つかりませんし、そのうちに確認しなおす必要があります。


「芸」のつく苗字で最も多いのは「安芸(あき)」で、苗字で「芸」が用いられる場合は概ね「き」と読みます。もちろん「げい」と読むものもあります。
難読だなあと思ったのが「織繊芸」という苗字で、これで「おせき」と読むそうです。
ただし、これもウェブの「写録宝夢巣」では見つかりませんでした。

あと、ひっかかったのが、「芸下」という苗字。
これで「はいした」と読むそうです。北海道で3件ありました。
ウェブでも、この読みで見つかります。
しかし難読ですね。
「芸」という漢字に「はい」という読みはなさそうだし、何かの漢字の置きかえなのでしょうか?


「豊」は「と」や「とよ」と読むことが圧倒的に多く、苗字としても相当数の種類があります。
多いのは「豊田」や「豊島」です。
ただし旧字体の「豐」を使っていることは、かなり少ないですね。

「豊作(ほうさく)」という言葉もあるように「ほう」という読みもあります。
「豊後国(ぶんごのくに)」という地名があるように、「豊」と書いて「ぶん」とか「ぶ」とか読むものも結構あります。
例外的に「岡豊」で「おこう」と読む苗字もあるそうで、これは高知県にそのものずばりの地名もあります。
「豊」のつく苗字には注意ですね。読みがたくさんあって難読になるものが多いです。




2013年8月4日日曜日

雑多なこと

今までの内容で、追加しておきたいことを書いておきます。

「ず」と「づ」の統一を早い段階でしようとしましたが、決めきれなかったものもあり、悩んだまま放置していたものがあったので、記載しておきます。

「東妻」という苗字がそれで、「あずま or あづま」と読みます。
「東」だけなら「あずま」ですし、「妻」を重視するなら「づま」になるでしょうし。
悩ましい。
「苗字の百貨店」の調べでは、「あづま」と名乗っている方のほうが多いとのことです。
そのうちに自分なりの結論を出さねばなりません。

もうひとつ、「厳樫」と「厳原」というのもありました。
「苗字の百貨店」では前者の読みが「いずかし」、後者が「いづはら」となっていました。
難読ですね。
「厳」を苗字に使うとき、だいたいは「げん」です。

「荘厳」という苗字もあり、これは「そうごん」と読みます。
後、「花厳」という苗字もあり、これは「かざり」と読みます。
これも難読ですね。
それ以外は概ね「げん」なのですが、「厳島」という苗字だけは地名の通りに「いつくしま」と読みます。
「厳」を「いつく」と読んでいるんですよね。
それを踏まえた上で考えなおすと、、「厳樫」と「厳原」においても「厳」は「いず」より「いづ」に統一する方が良いのではないかと思いました。

「厳」は「嚴」という旧字体があるのですが、この漢字に関しては「巌」という漢字と対にしてまとめなくてはならなくて、これがまた厄介なので、「厳」の新字体と旧字体のまとめは後日にします。

もうひとつ「吉吉」という苗字があるみたいです。
ウェブの「写録宝夢巣」で見ると全国で2件だけみたいですが、これは「きちよし」と読むみたいです。
「々」を使える苗字のときは使うという原則を作り、「佐佐木」を「佐々木」に統一したりしたのですが、この「吉吉」だけは同じ漢字を重ねていますが、読みが違うので「々」を使いませんでした。唯一の例外ですね。

しかし、この苗字は実在するんですかね?
ちょっと信じがたかったので、検索してみたのですが、実在を確かめられなかったので。

2013年8月3日土曜日

與と輿と興に関して

幽霊苗字かなというのを、もうひとつ見つけました。
「酒勾川」というのが、それです。

静岡県と神奈川県を流れる酒匂川(さこうがわ)という河川があり、神奈川県には「酒匂川」という苗字があります。
「酒匂(さこう)」という苗字と「酒勾(さこう)」という苗字は両方あるのですが、「酒匂」は鹿児島県に多く、全国では2000人以上いる割とポピュラーな苗字で、「酒勾」はそれよりもずっと少ないですが、石川県と鹿児島県に集中している苗字です。
でもだからといって「酒匂川」と「酒勾川」という苗字も両方あるとは言いきれないのでは?と思うのです。
誤記の定着系の苗字の可能性もありますが、「写録宝夢巣」で見ても、全国で1件の苗字なので、実在が確かめられない限りは除いておこうと思います。


本日の本題である「與」と「輿」と「興」の話題に入ります。
もともとは「与」という漢字のつく苗字を調べていたところだったのですが、あまりにもややこしかったので、時間をかけて調べなおしました。

「與」というのは「与」の旧字体です。
「与那嶺」、「与那覇」、「与儀」、「伊与田」など、かなりの種類があります。
「よ」のほかに「くみ」と読んだり、一字で「あたえ」と読んだりします。


「輿」は「玉の輿」とか「神輿(みこし)」の「こし」ですよね。
苗字として数は少ないですが、それでも10種類くらいは「輿」のつくものがあり、全て「こし」と読んでいました。
ややこしいのは「輿」の音読みは「よ」であって、「輿那嶺」、「輿那覇」、「輿儀」という「よ」と読むんだろうなというのが、ウェブの「写録宝夢巣」で検索できるものだけでも全部で13種類ありました。
これも誤記定着系の苗字なのかと思って実在を確かめようと時間を使いました。
検索するとヒットはします。ただ、いずれも「輿」を「與」に代えてもヒットするものばかりで、本当なのかな?と思ってしまいます。


更にややこしいのが「興」です。もちろん興味の「興」です。こちらは「よ」という読みはないようです。
苗字として最も多いのは「興梠(こうろぎ)」でしたが、主には「おき」と読む苗字が多いです。「こう」とか「きょう」と読むものもありました。


こちらも「興那嶺」、「興那覇」、「興儀」がありました。
さらに「神興」とか「興水」といったものもありました。
「輿水(こしみず)」という苗字がありますので、誤記定着なのかなとも思いますが…
「興」と書いて「よ」と読みそうな苗字が全部で11種類、「こし」と読みそうなのが2種類ありました。
こちらも実在は確かめられませんでした。

最も問題なのが、「興水」という苗字で、「写録宝夢巣」では全国にバラバラと9件もヒットしました。9件もあるとさすがに実在してそうですけど…
これも発見できませんでした。
9件がバラバラというのが怪しいという気がします。だいたい稀少苗字というのは数ヶ所に集中していることが多く、1件ずつが全国にちらばっているというのはどうなんだろう?と思います。

悩みましたが、これらもスキャンミスと考え、削除しました。

苗字を数えるといいながら、削ってばかりになっていますが…

2013年8月2日金曜日

これは幽霊苗字では?

いくつか幽霊苗字ではないかと思われるのを見つけたので記載しておきます。

閠井」と「閠間」というのがそれです。
閠」というのはwikipediaの幽霊文字にも入っています。
おそらく「閏年」の「閏(うるう)」の誤記であると考えられています。
閠井」と「閠間」はウェブの「写録宝夢巣」でもヒットしますが、幽霊文字を用いている苗字の実在に関しては慎重になるべきで、やはり「閏井」と「閏間」のスキャンミスと考えたいです。
このふたつに関しては幽霊苗字として削ることにしました。

ある苗字が存在すると決めるのはひとつの例を示せば良いので簡単ですが、存在しないというのを証明することは難しいです。
ただ、幽霊苗字があっても誰も迷惑しないので、削る機会がないのです。

それなので、怪しいものは積極的に削ってしまおうと考えました。
もしも実在を確認したら、その時に改めて載せることにします。

他に、「鳥兎沼」というのもありました。
これは「烏兎沼(うとぬま)」という苗字の誤記ではないかと思うのです。
「鳥」と「烏」はよく似ていますから、スキャンミスであっても不思議ではないと思います。
ウェブで検索しても「「烏兎沼(うとぬま)」は見つかりますが、「鳥兎沼」は見つかりません。
誤記の定着系の苗字の可能性もありますが、疑わしいときは削ることにします。

「鶇川」というのもありました。
「鶇」は「つぐみ」と読みます。
「鵜川(うかわ)」の誤記ではないでしょうかと思うのです。
「鶇」の入った苗字には、そのものズバリの「鶇(つぐみ)」と「鶇巣(とうのす)」というものがあります。
それなので、必ずしも存在しないとまではいいづらいのですが…
しかし、「鵜の川」なら想像できますが、森林に多く生息するツグミの川という意味の苗字に違和感があるのです。
これも丁寧に「鶇川」を検索したのですが、実在を確認できませんでした。
怪しいのは削除しておきます。

逆に私が、スキャンミスに違いないと早合点したものに「槁」という漢字があります。
「高槁(たかはし)」とか「槁本(はしもと)」といった苗字があります。
「槁」は「こう」と読むようで、「枯れる」という意味があります。
「はし」という読みはないのです。
この「槁」は明らかに「橋」の誤記であるに違いないのです。
しかし、これらの苗字は実在します。
簡単に検索できてしまいます。
難しいですね。

本当に幽霊苗字かどうかの判断は難しいです。
繰り返しになりますが、私としては「実在が確認できないものは、とりあえず除く」といった方針で進めたいと思います。

2013年8月1日木曜日

纏と迩と覇に関して

本日はランダムに3種類。
苗字にあまり使われていなさそうな漢字から。

まずは「纏」から。「ドレスを身に纏う(まとう)」といったときに使う漢字です。
苗字としては3種類しか使われていなかったです。
そのうち2種は「まとい」と読み、1種は「まき」と読んでいました。
ちなみに異体字は「纒」です。
これも悩みますね。
どっちが新字体で、どっちが旧字体なのか?
新字体と旧字体の対照表みたいなものには載っていませんでした。
「纏」がJIS第1水準なので、こちらを新字体の扱いとしました。


次は「迩」。これで「に」と読みます。
苗字として使われる場合は、「に」の読みしかありませんでした。
旧字体は「邇」です。「久邇宮(くにのみや)」という宮家がありますね。


次は「覇」。これは簡単ですね。「那覇」の「覇」ですから。
「与那覇(與那覇)」、「玉那覇」、「我那覇」は全て沖縄ではありふれた苗字です。
異体字は「霸」になります。
苗字としても「は」としか読まないだろうと思っていたら、例外がひとつだけありました。
「訓覇」という苗字がそれで、「くるべ」と読みます。
沖縄とは全く関係がないようです。難読ですね。

それにしても苗字の総数を知りたいと思って始めたのに、いつの間にか漢字の勉強ばかりになってしまっています。

*後日、訂正しました。異体字である「霸」を持つ苗字は見つかりませんでした。